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2011年1月

2011年1月30日 (日)

春に降る雪⑲ 第五章その4


さすがに、高級ホテルの部屋というべきか。
取ってあった部屋は、思ったより広く、思ったより豪華で、思ったより綺麗だった。
入って最初の部屋(部屋の中に部屋があるのだ)は、リビング。ゆったりとしたソファと、最新式のプラズマテレビ。趣味のいい調度品が淑やかに配置されている。
奥のドアを開けると、寝室だった。3人は優に寝られるであろうサイズのベッドが2つ。ベッドの向かいにはこれまたテレビが配置されている。クローゼットも、2人で使うには余りある大きさ。一番奥は全面窓になっていて、都心の鳥瞰図が眼下に広がっていた。
「どう?」
「すごいな…」
素直な驚きが口をついて出た。一体、いくらの部屋なのだろうか?相場を知らない僕には、想像もつかない。こんな部屋が存在すること自体、想像の範疇外だった。
「ふふふ、驚いてくれて嬉しいな」
晴香は、バッグを放って、ベッドに腰掛けた。
僕は、コートを着たまま窓の傍に立つ。埃っぽいコンクリートジャングルが眼下に広がっていた。
胸に手を当てる。
硬質なその感触を確かめるように。

僕は、深く深く深く、息を吸った。

「今日…ちょうど待ち合わせしてた時間にさ」
晴香に背を向けたまま、僕は切り出した。
「ウノエさんに、電話したんだ」

待ち合わせの時間。新宿駅西口改札。
僕は、ケータイを耳に当てた。
『もしもし』
『こここコウくん?どうしたの』
卯之恵さんはもう、いつも通りだった。それがわかれば、十分だ。
『いえ、なんでもないです。ごめんなさい』
『え?』
僕は電話を切ろうとした。彼女の無事を確かめたかった、それだけだったのだ。
ケータイを耳から離そうとしたそのとき、電話の向こう側から微かに声が届いた。
『コウくん…』
あわてて、ケータイを耳に戻す。
『はい?』
『がんばってね』
それだけ言って、卯之恵さんは電話を切った。
つー、つー、つー。
僕は、そのまましばらく動けなかった。
ぎこちなく、ケータイを耳から離し、閉じる。
僕は、
間違っているのか?
それとも、
正しい?
教えてくださいよ、ねぇ。
不意に、後ろから声が聞こえた。
『やっほぉ、元気?』

「…ウノエさんって?」
晴香が聞き返す。当然の疑問だ。彼女は、卯之恵さんとは面識がない。僕の知る限り。
「誰の話?」
「僕が、…殺し損ねたヒトだよ」
僕は視線を上げる。窓の外には、ペンキで描きなぐったような、空。
目から、知らずと涙が溢れてくる。
血を、洗い流そうとするように。
傷を、癒し治そうとするように。
止まらない。
痛み。
「おかしいと思ったのは、銀髪の彼をの言葉を聞いたとき」
僕の口から、するすると言葉が流れ出す。
単調で、
短調の、メロディ。
「彼は、僕を『フユキ・コウセツ』と呼んだ。でも、それは…決定的におかしい。有り得ないはずなんだ」
「えーと」
晴香は、戸惑うでもなく、焦るでもなく、怒るでもなく、
「話がぜんっぜん見えないな。フユキくん、何の話をしているの?その誰かさんにフルネームで呼ばれるのが、そんなに有り得ないこと?」
淡々と言う。
「そうだよ…有り得ないことなんだ。なぜなら、」
僕の奏でるメロディは、途切れない。
「僕の名前は、日野降雪(ひのふゆき)。降る雪と書いて、フユキ、って名前なんだ。『コウセツ』っていうのは、漢字の読みからきたあだ名なんだよ」

『エフ』で働くことになった、初日。
マスターと卯之恵さんは、僕の履歴書を見て、
『ヒノ、コウセツ?』
『めめめ珍しい名前だね』
予想通り、読めなかった。
フリガナ振ってあるんだけどな…
『降る雪…コウセツって書いて、フユキって読むんです』
一応、補足すると、
『そうか…じゃあよろしくな、コウセツ』
『よよよ宜しくね、コウくん』
…人の話、聞いちゃいねぇ。
そうして、『エフ』では『コウセツ』の名前が定着した。

「彼が、事前に僕の名前とか、個人情報を何らかの方法で調査していたとしても、僕の名前を『フユキ・コウセツ』だと勘違いすることは有り得ない。漢字の読み間違いで『ヒノ・コウセツ』だと思うことは有り得てもね」
『日野降雪』を『フユキ・コウセツ』と読み間違うわけがない。
「マスターとウノエさんは履歴書を見ているから、言わずもがな。ササは幼馴染だから僕の名前なんて当然知っているし、とある事情でシンゴも僕の個人情報には精通している。つまり、僕が『フユキ』と呼ばれる場面も、『コウセツ』と呼ばれる場面も知っていて、尚且つ僕の本名を知らなかったのは…」
僕は振り向いた。
「ハルカ、君だけだ」
「…」
「この事件は、明らかに僕が標的だ。僕の身近な人々を殺し、僕を孤立させて、犯人にしたてあげる。そして、最後に始末する。僕を追い詰めるのが、目的。なのに、犯人は僕の身近な人であるウノエさんを見逃し、越してきたばっかりのササを殺した」
この一年間、僕の身近にずっといた卯之恵さんを知らず、
つい3日前に、前触れもなく転がりこんできた咲々を知っていたのは、
晴香。
唯、一人。
僕は言葉を紡ぎながら、ゆっくりと晴香に近づく。
「おそらく、実行犯はあの銀髪の彼。明らかに素人ではなかったしね。だけど、その彼を影で操っていたのは、」
僕を、殺そうとしたのは。
マスターを、
真吾を、
咲々を、
殺したのは。
僕は胸ポケットからゆっくりと銃を取り出す。鈍く銀色に光る、自動式拳銃。
重い。
これが、命の重さか。
かちっ。
僕と晴香は向かい合った。生と死のガラス越しに。
あるいは、真実と嘘の。
僕の右手の銃の照準は、ゼロ距離でピタリと晴香の眉間に合っている。
手は、震えなかった。
「君なんだね…ハルカ」
証拠は、なにひとつない。
偶然と言ってしまえば、それまで。
これがミステリー小説なら、読者は怒り狂うであろう、無茶苦茶な穴だらけの推理。
嘘だと、
言って欲しかった。
違うと、
否定して欲しかった。
バカじゃないのと、
笑い飛ばして欲しかった。
欲しかったのに、
「だったら、」
晴香のまっすぐな視線が、鋭い刀のように僕の内側を斬り裂く。
ズタズタに。容赦なく。
「どうするの?」
僕は。
僕は、僕は、僕は。
撃てよ。
僕の中の僕が怒鳴る。
このために来たんだろう?
だったら。
どうするの。
どうするのどうするのどうするの。
汗が噴出す。
喉がカラカラだ。
ハルカとの距離がわからなくなる。
僕が誰だかわからなくなる。
僕は僕は僕は僕は僕は。
「マスターは、」
誰だ、話しているのは?
「大学を辞めて途方に暮れていた僕に、道を示してくれた。優しくって、怖くって、身勝手で、よく笑って、ゲームの話ばっかり引き合いに出してさ。殴られもしたな…でも料理は抜群にうまいんだよね。すっごく不器用だけど、僕を受け入れてくれた。そんなマスターが、僕は好きだった」
話しているのは…僕?
「シンゴは、後にも先にもない、唯一、大切な親友だった。酒好きで、勢いばっかで、うるさくて、面白くて、趣味が合って、でも真逆で。理解できないけど、一番の理解者だった。何ていうか…お互いがお互いの空気みたいな存在だったな。普段は気にしてないけど、なくてはならない存在。そんなシンゴが、僕には必要だった」
僕の口から、ひとりでに言葉はあふれ出す。
「ササは、家族同然の幼馴染だった。いつも言ってることがわかんなくて、妙なテンションで、変に姉御肌で、へビィスモーカーで、意外に気が利いて、僕が困ったときは助けてくれて、自分が困ったときは助けを求めてきて。姉であり、妹みたいな感じだな。血はつながってないけど、僕に残された、唯一の家族。そんなササが、僕には愛しかった」
沈黙。
僕も、晴香も、微動だにしなかった。
ぼんやりと、視界が霞む。
ハングアップしそうな、頭。
銃を持つ右手に力が入る。
僕は歯を食いしばった。
叫びたい。
壊したい。
何もかも。
誰もかも。
そんな僕を見て、晴香は、
静かに、微笑んだ。
全てを許すような、
全てを捨てるような、
全てを受け入れるような、
それでいて、全てをあきらめたような、
安らかな、微笑み。
いつか、
どこかで、見たような。
「いいよ…殺して」
その言葉に、表情に、
鷲掴みにされる、心臓。
僕は、僕は、僕は、
僕は。
早く!早く撃つんだ!
頭の中の僕が怒鳴っている。
思い出す前に!
…わかってるよ。
僕は右手に力を込めて、
その銃口を、自分のこめかみへと向けた。
もう、思い出したんだ。
思い出したんだよ。
あの日、僕は、
僕は、晴香を救えなかったんだ。
そう、殺してたんだよ。
同じことさ。
だから、もう殺せない。そうだろ?
だから、代わりに僕を殺すことにしたんだ。
世界を壊すことにしたんだ。
僕は、泣いている?
それとも、笑っている?
マスター、
真吾、
咲々、
僕を、許してくれる?
じゃあね。
さよなら、晴香。
僕は、引き金を引いた。


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2011年1月24日 (月)

Hello again

パーカッションが増えていくなぁ。

最初はカホンひとつだったんですけど…シンバル(大きめのスプラッシュ)がついて、マレットとブラシ買って、パーカッションテーブル用意して、足に鈴つけて、トライアングルぶら下げて、ジュニアコンガ置いて、レインスティックまで持っちゃって、シェイカーも振ろうかな、と。

特に教わったりなんかしてないんですけどね。お陰様でお仕事いただいたりしちゃってます。

習ってはなくても、むしろいろんな現場を見せて(経験させて)いただいたのが生きてるよなぁ。

学歴じゃないと思うんですよね。…まぁ自分が不良学生だったから言うんだけど(笑)


先日久しぶりに高校時代からの友達と食事に行ってきました。お互い忙しい(ありがたいことに)から合間を縫っての2時間ほどでしたが、楽しかったです。1年半ぶりだったけど、変わってなかったなぁ。

旧い友達っていいですね。


次はキックを使うか、ハイハットか…やっぱウインドチャイムかな〜

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2011年1月21日 (金)

春に降る雪⑱ 第五章その3



「つまりさ、それがかっこいいんだよ」
「うーん、でも、逆に言えばそれって敬遠される最大要因じゃない?」
「それを恐れてちゃ、どうしようもないよ」
「まぁ、そうだけど」
「憧れちゃうよねぇ」
「うーん、わからん」
「まぁ、言葉はよくわかんないんだけどさ。なぁんか、いいんだよ」
「そう?」
「すごい、聡明なヒトだと思うな」
「へぇ…」
「なんか、見えてくるんだよね」
「何が?」
「心」
「心って…」
「やっぱり、何かを創れるヒトってすごいよね。絵とか、曲とか、物語とか、もちろん料理も」
「まぁね」
「あー、謙遜とかしないんだ」
「冗談だよ…僕は、創作なんてできない」
「どして?」
「空っぽだから…かな」
「またまた、かっこつけちゃって」
「かっこいいかな?」
「うーん、重症。治療が必要ですな。ってわけで今度聴いてみてよ。貸すから。ジヘンもいいよ」
「ジミヘン、じゃなくて?」
他愛もない会話。
他愛もない時間。
西新宿のホテルの、52階にあるレストランに僕らはいた。晴香曰く、お洒落だけど割とカジュアルなレストラン、らしい。テーブルマナーもろくに知らない僕には、縁のないような場所だ。
少し迷ったが、コートは拳銃ごと入り口で預けてしまった。あの重さを訝しく思っても、おそらくは触れないでいてくれるだろう。こういうところはワケあり客も多いはず。故に、客のプライベートには、決して立ち入らないようにしている…はずだ。
まぁ、見つかったら、そのときはそのとき。
あるいは、諦めに近い感情だったのかもしれないが。
そのときの僕にはなぜか、銃を咎められることはないであろう確信があった。
必ず、晴香に銃口を向ける時が来るであろう確信が。
それが運命だと、
そう言わんばかりに。
そして僕は丸腰で、今晴香と向かい合っている。
笑い合っている。
他愛もない話をしながら。
卒のない食事をしながら。
安い舞台を、演じている。
周りから、僕らはどう映っているのだろう?
ちょっとませたカップルか。
はたまた、仲のいい兄妹か。
殺す側と、殺される側には、
狩る者と、狩られる者には、
見えないんだろうな。
ぼんやりと、そんなことを考えながら、晴香の言葉に相槌を打つ。
「へぇ…そうなんだ」
「そう!まぁそういうことよ。すごいよね」
何の会話なのか、全然頭には入ってこないが、不思議と僕はうまく対話を成立させている。僕ではない誰かが後ろにいて、腹話術士みたいに僕を操っているのだろうか。
  まぁ、いいや。
適当に、よろしくお願いします。
自動式の会話も、窓からの絶景も、目の前の料理の味も、僕の心には届いていなかった。
僕の心は、まだ家にいる。
あのクローゼットの中にいる。
頭の中では、僕でない僕が次の行動をせっついている。
…人気のない場所に、誘い込まないとな。
何と言えばいい?
どうしたら、うまく誘い込める?
知らねぇよ。
「…じゃ、今度行こう!約束ね、約束」
「うん、オッケー」
何の約束をしたのかもわからないまま、僕は頷く。
晴香は笑って、
僕も笑った。

普段であれば至福の喜びをくれるであろう料理も、今日の僕にとっては、味気ない紙粘土も同然だった。機械的に、ただひたすらに目の前の皿に載ったモノを消化していく。いつの間にか残るはデザートだけになっていた。メインが何だったかも思い出せないのに。
デザートはビュッフェ形式だった。これでもかと、恥ずかしくなるくらいに皿いっぱいにデザートを盛る晴香に対し、僕は申し訳程度に2、3種類だけ皿に載せた。
「あれ、フユキくん、甘いもの好きじゃないんだ?」
「ちょっと今日はお腹いっぱいでさ…って、ハルカ、それ…全部食べれるの?」
「うーん、遠慮したつもりなんだけどな」
どこがだ。
幸せそうにパウンドケーキを頬張る晴香に対して、僕は紙粘土でも飲み込むかのような気分で、フルーツで彩られたヨーグルトのようなものを口に運んだ。全然味がしない。
「あー、幸せ。何が幸せかって、美味しいスイーツ食べることほどの幸せってなかなか巡り合えないよね」
「…」
気づけば、晴香の皿はすでに半分ほど空になっていた。おそるべし。
「ようし、こうなったら飲んじゃおうか?」
…今から?
「なーんてね。うそだよ~。そんなマジな顔しないしない」
なぜかどんどんテンションを上げていく晴香。
そして、どんどん表情が引き攣っていく僕。
平和だ。
醜悪なほどに。

だけど一瞬だけ、
ほんの一瞬だけ、
この時間が永遠だったらな、と、
そう思った。

結局、僕の皿のデザートも晴香がすっかり食べ終えて、食後のコーヒーが運ばれてきた。
僕はブラックで。晴香は砂糖入り。
「あのさ」
一息ついたところで、晴香が切り出した。
「実は、部屋とってあるんだよね」
え?
平然とした顔で、晴香は鍵を見せた。紛れもなく、ここのホテルのカードキー。
まさか。
予想外だ。
だけど…好都合。
晴香は僕を見ている。
表情からは、感情は読めない。
視線が、
交錯した。
「…タバコ、吸っていいかな」
僕は、ポケットからタバコを取り出す。昨日、咲々の荷物から拝借してきたマルボロだ。慣れない手つきで火を点け、吸い込んで、吐き出す。
ちっとも、美味しくなかった。
晴香はまだ、黙って僕を見ている。
永遠とは、きっと、こういう時間のことなんだろう。
そんなことを、考える。
考えてもしかたのないことを。
もう一人の僕が言う。
迷うことはない。迷う意味も、理由も、意義も、大儀も、正義すらもない。あるのは、真実という名の暗黒だけさ。なぁ、もう、決めてるんだろう?
…まぁね。
それでいいんだ。お前ならやるさ。間違いなく、ね。
…。
一年前もそうだったしな。
一年前…?
忘れたのか?
一年前…

「フユキくん、タバコ吸うんだね」
晴香の声で、僕は我に帰った。
たなびく紫煙。戯れるグラスの音。流れるジャズ。
現実は何一つ、変わっちゃいない。
「うん…まぁね」
もう一口吸い込んで、吐き出す。
この前あんなにむせたタバコにも、今は何も感じない。
それほどまでに。
それほどまでに、僕は。
思い出したように、指に挟んでいたタバコを揉み消す。
「…じゃ、行こっか」
僕は、立ち上がった。



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2011年1月12日 (水)

BECK

免許更新行ったとき、ついでに献血してきたんですが…

意外と針刺すの平気なんです、僕。

というか、逆に苦手な人の気持ちがわからなかったり。

たぶん、初めてのときが下手な人で痛かったりしたら、苦手になるんでしょうね。



…いや、なんでもないっす。

昨今の動きはというと…

バンド組もうかと思っております。小泉先生ピアノで、僕がパーカッション(予定)。

現在もれなく(?)ヴォーカルの方募集中!宛先(?)はコチラ→yu_with_key@yahoo.co.jp

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2011年1月 9日 (日)

春に降る雪⑰ 第五章その2


田舎から出てきたばかりのときは苦痛で仕方なかった、人混み。今となってはむしろ、人がいないと不安になってくるのだから、人間とは不思議なものだ。
いつも人で溢れている、新宿駅西口改札。
約束の時間に、僕はすでにそこにいた。
公園で、僕はひたすら考えていた。なぜ、こうなってしまったのか。なぜ、マスターは死ななければならなかったのか。なぜ、真吾は死ななければならなかったのか。なぜ、咲々は死ななければならなかったのか。そして、
なぜ、晴香は死ななければならないのか。
まさか僕が、人を殺すなんてな。
僕は小さく、力なく笑った。暴力だとか、争いだとか、そういったものからは最も縁遠いと思っていたこの僕が。笑うしかないじゃないか。
あの戦いで気づいた、僕の中にいた本能。
もう一人の、僕の姿。
『君は、人殺しだ』
刑事の言葉を思い出す。
そうだよ。
その言葉は正しかった。
僕は、人殺しさ。
晴香はまだ来ない。周りには同じように待ち合わせをしているらしい人たちが、しきりにケータイを耳に当てながら改札を凝視していた。ハチ公ほどではないにしても、この人混みの中で待ち合わせしている相手と落ち合うのは至難の業だ。ケータイがなかったころはどうしていたのだろうか。ケータイという物があるのが当たり前の僕らの世代にはわからない。まったく、便利な世の中だ。
僕はケータイを耳に当てた。

「やっほぉ、元気?」
ちょうど電話を切ったところで、後ろから晴香の声がした。改札の方ばかり見ていた僕は不意をつかれた。
「い、いつからいたの?」
「え、今来たとこだよ?…なんか、久しぶりだよね」
屈託のない笑顔。
今日で終わる笑顔。
いや、終わらせる笑顔。
僕でない僕が語りかける。
今、ここで…
冷静な僕は、反論する。
まだだ。まだ早い。
そんな僕の中の会話を知らない晴香は、僕の目を覗き込んで、
「あれ、フユキくん、妙に疲れてない?」
言った。
「…まぁね」
僕は自嘲気味に、笑った。
笑った、振りをした。
「なんか、クマできてるよ?」
「いろいろ、あったから」
「ふぅん、何があったの?」
「まぁ、おいおい。とりあえず、行こうか」
そだね、と言って、晴香は歩き始めた。もう店は決まっているようで、足取りに迷いはない。
まだ、様子を伺うんだ…
僕も晴香について歩き始めた。
さりげなく、内ポケットの銃に触れる。その重さは、そのとき確かにそこにあった。


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2011年1月 4日 (火)

White Oshogatsu

Otosan


…お父さんです。

まさかのiPhoneですよ。

買っちゃいましたよ。

いやー、自分でびつくりですね。思わず大きい「つ」になっちゃうくらいです。

だって、簡単に自宅のPCをリモート操作できちゃうんですよ?!

すげーぜiPhone。

よくがんばった!感動した!



感動と言えば…

一度だけ、食べ物で感動して泣いたことがあります。

それは、焼きたての食パン。

“これがパンなら、今まで食べてきたパンは一体何だったんだ!”ばりの衝撃。

一度だけ…じゃないな、うん。ゲームをしてて泣いたことがります。

いわゆるひとつの『ファイナルファンタジー7』ってやつです。

完全にやったことある人にしかわからない説明になりますが、リーブくんの「でも…みんな来てくれるよな!」「あたりまえだ!」「俺たちの乗った列車は、途中下車できないんだぜ!」(うろおぼえ)

そこで流れる『シドのテーマ』!

かっこよすぎ!

一度だけ…じゃなくいっぱい、映画で泣いたことがあります。

最近で挙げるとすれば、「サマーウォーズ」。おばあちゃんかっこ良すぎです。よろしくお願いしまぁす!

一度だけ…なわけないじゃん。ってくらい小説でも漫画でも泣きます。

一番最近だと「高校野球の~(略)~読んだら」ですね。話題の。

独りで読んでて良かったです。油断して街中で読んでたら大変だった(笑)

一度だけ…いや、いつも何度でも、音楽で泣いたりするのです。

最近だと、ベタベタですが、紅白の植村花菜さん「トイレの神様」。いやぁ、いい曲だ。

でも実は、僕が亡き飼い犬のために作った曲と展開が似ている…今出すとこっちがパクリにみたくなっちゃいそうなので、しばらくはおあずけです。くぅん。

僕が目指すのは、「笑いあり・涙あり」これに尽きます。シンプル・イズ・ベスト!

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春に降る雪⑯ 第五章その1



結局、家には戻らなかった。戻れなかった、と言ったほうが正しいのかもしれない。正直、咲々の亡骸をもう一度見たくはなかった。もう、疲れてしまったのだ。「死」というものに。
身近になった「死」に。
いや、初めから身近にあった、「死」に。
「もう、いいだろ…」
内ポケットの銃に触れながら、ぼそりと呟く。思った以上に、それは重かった。
また、銀髪が襲ってくるかもしれない。
おそらくは、しても無駄であろう警戒をしながら、極力人のいる方向へと足を進めた。奴と僕の実力差は明らかだ。
素人と玄人。プロとアマチュア。いや、それ以上か。恐竜に挑む蟻、と言っても過言ではないかもしれない。
ついさっきの攻防で僕が生き残れたのは、偶然と、おそらくは奴の油断によるものだ。奇跡的に、僕は生きて還った。それが、運命というものなのかもしれない。
僕には、やるべきことがある。
まだ、終わっちゃいない。
まだ、晴香がいる。
ふと、思い出してケータイを開く。
3月9日の表示。
そう言えば…食事の約束って今日になるんだよな。
約束をしたあの日が、ずいぶん昔に感じられる。
たった、3日前なんだけど。
『フユキくん…明々後日のお昼、空いてる?』
晴香の声が耳に甦る。
『じゃあ新宿駅で待ち合わせね。あたしがおごるからさ』
新宿、か。
行くしか、ないよな。
駅前の公園に着いたところで僕は足を止めた。下町とは言え、駅前まで来ると、この時間でもいくらかは人が歩いている。ここなら近くに交番もある。そう簡単には襲ってこられないはずだ。
時計を見ると、時刻は1時を過ぎていた。
明るくなって、人々が活動し始めるのは何時くらいからだろう?
5時?6時?
それまで、警戒を保てるか? いざとなれば…この銃で、
やるしかない。
奴も。
僕はここで朝を待つことにして、ベンチに腰掛けた。
目の前に、亀の形をしたオブジェクトがあった。大・中・小の亀が重なって、噴水になっている。その上には、『ダメ、ゼッタイ』とデカデカと書かれている、環境問題へのスローガンらしき看板が掲げてある。
そのときの僕の目には、神様からの、僕に対するメッセージのように見えた。
ダメ、か。
ダメ、かなぁ。
ダメ、でもさ、
でも、やらないと。
人の道に外れようと。
獣の道に反しようと。
僕はポケットの中の銃に触れた。
その冷たさに触れた。
晴香も、
…殺さないと。

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2011年1月 1日 (土)

年の初めは…


明けましておめでとうござんす!

とうとう24になりました!(僕は山羊座ですけど、何か?)

ジャック・○ウアーですね!(終わったけど)

今年は紅白見れました!

そして、「年の初めはさだまさし」ばっちり!

ふふふ…新年早々さっそく悲願を達成してしまったぜ。

1年分、やる気を充電させていただきました!

今年は…

自分の足でしっかり立ちたいなと、

ぶれないように立ちたいなと、

そう思います。



今年もよろしゅうお願いやす~m(_ _ )m

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