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2011年7月

2011年7月21日 (木)

博士の愛した寿司、Qui

14日は新宿巴里楽Quiにてライブでした!

お越しくださった皆様、ありがとうございました!

なんだかパーカッションが気に入っていただけて、また出演させていただくことになっております!8/5と8/19と8/20です!どうぞよろしく牧場(?)

ちなみに8/20は昼間に横須賀芸術劇場でもピアノで出演させていただきます!うひょー、てぇへんだ!


閑話休題。

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この間いただいた寿司ストラップ!

海苔の感触がふにふにしてて秀逸です(笑)


久しぶりにDream Theaterを聴くと癒される僕っていったい…

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2011年7月10日 (日)

真夜中の動物園

667

車!

今日納車でしたーっ!

いやぁフィット素晴らしいですね。素敵です。

まぁ、滝野さんと共用なんですけどね。これでいちいちレンタカー借りたりしなくてすむぜ!


車の中で早速音楽かけてたら、

中島みゆきさん、 かっけー!!

という事実の今さら気づいた24の夏。

シビレました!


それから、昨日は真汐かれんさんのコンサートを見に行かせていただきました!

僕が作詞させてもらった曲「ステイローズ」の発売記念コンサートということで…

なんだかドキドキしながら聴かせていただきました。

次回はパーカス叩かせてください! (笑)


おっと、そろそろ時間のようだ…

さらばっ!!

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2011年7月 6日 (水)

春に降る雪26 最終章その4



「ヒノ・フユキくんだね?私の名は、ニノキ・コウセツ」
走るリムジンの、だだっ広い後部座席で、お腹を押さえてうめく僕に、弐ノ木は名乗った。
ニノキ…?
ってことは、まさか…
「娘が…ハルカが、世話になっているようだな」
父親か…!
「今のは、まぁ、親子の軽いコミュニケーションだと思ってくれ。何せ、君は将来息子になるのかも知れない存在だからな…ただ、娘を奪われたのが、ちょっと悔しかっただけだ」
腹いせかよ!
ていうか、息子って…
「僕は…」
何とか、声を絞り出す。
「どこへ、連れて行かれるんですか?」
「そうだな。あの世まで連れて行きたいのは、やまやまなんだが…」
やまやまなのか。
「そんなことしたら、娘に何をされるかわからん」
とりあえず、あの世に連れて行かれることはないらしい。内心、ものすごくほっとする。
というか、ここ数日、命の危機にさらされすぎだろ、僕。
「さて…本題に入ろうか」
本題…?
「君に、今日ここに来てもらったのは、他でもない。我々の…弐ノ木家のことを、君にはよく知ってもらおうと思ったまでだ。君は娘が選んだ男、だからな」
「弐ノ木家の…ことですか」
確かに、僕は何も知らない。せいぜい、巨大財閥だということくらいしか。
「弐ノ木家はもともと…殺し屋を営んでいた」
コロシヤ?
どこぞやのアトラクションばりにいきなり急加速した話題に、僕は完全に乗り遅れた形となった。
振り落とされた、のほうが正しいかも。
とりあえず、ありったけのエネルギーで、止まりかけた思考を回転させる。
えっと、コロシヤって…つまりは、殺し屋?
殺し屋って、商売なのか?
『殺し屋だよ』
鬼石の言葉が、頭をよぎる。
あれって…ホントウだったの?
「えっと、ちょっと、待ってください。今、頭の整理を…」
「もともとは、日の当たらない裏家業だったんだ。それに嫌気がさして、でも家を出るにも出られずにいたのが…私の妻だった」
待つ気ゼロかよ。
仕方ないので、僕は必死に話に喰らいつく。
「ってことは、その、殺し屋の家に生まれたのが…」
晴香の、母親。
どんな人なんだろう…
会ってみたいような、会ってみたくないような。
話は、続く。
「私は、彼女と、共に闘う決意をした。裏家業でも、表家業でもない、新たに統一された、弐ノ木グループを作るために。…いろいろあったが、私達はそれを成し遂げた。今では弐ノ木は、表向きは財閥のひとつであり、裏では政府認定の掃除屋になった」
政府認定の…掃除屋?
何だかこの話、ものすごく重要な部分を端折っているような気がする。
おかげで全然話についていけない。
「掃除屋って…」
「社会に必要ない、とされた者を速やかに始末する。平たく言えば、殺し屋と同じだがな。ただ、依頼者と、扱いが違う。殺し屋は違法だが、掃除屋は認可される」
掃除屋…。
政府に認められた、殺し屋。
そんなものが、あったなんて…
「CP9みたいなものか、と思ったかもしれないが、違う。諜報はしないからな」
思ってねぇし。
何気に漫画好きなのか、この人?
咲々と気が合うかもしれない。
「表はともかく、裏家業を確実にこなすには、それなりの実力が伴わないといけない…オニイシには、もう会ったのか?」
「…はい」
最悪の出会い方だったけど。
僕、むしろターゲットだったし。
初対面で、殺されかけたし。
「会いましたけど」
「彼女から、『能力』の話は聞いたか?」
『能力』?
そんな話は聞いてな…
…って、彼女?
ま、まさか…
「なんだ、その顔は?あぁ、オニイシを男だと思っていたのか」
ってことは…
お、女だったのか!
だって、『俺』って言ってたし…
あの身長だし…
まぁ、でも確かに声は高かったな、男にしては。
「まさか…」
「まぁ、無理もない。あいつは…オニイシは、…娘のことを好いているしな」
すいて、いる?
えーと、
「それって、どういう…」
「つまり、娘の…ハルカのことを、愛しているのだ」

れ、恋愛関係?
相変わらず、急転直下な話だ。ついて行こうとすると、振り落とされる。
「えと、つまり…」
僕が何か言おうとしたのを遮って、弐ノ木は鬼石について語り始めた。
「オニイシは、橋の下にいた子供だった」
橋の…下?
「それって…捨て子だった、ってことですか?」
弐ノ木はかぶりを振る。
「今でも、あいつの本当の親はわからない。…あいつは何も言わないが、おそらくは虐待を受けていたのだろう。だが、あいつは何らかの方法で家から逃げ出した。ひたすらに、ひたすらに遠くへ歩いたのだろう。見知らぬ町の河原についたところで、あいつは座り込んだ。5歳の体力的には、限界だったのだろうな」
「5歳…」
そんな歳で、そんな体験を、か。
それが、現実。
それが、この世界。
生まれたばかりの、何の功も罪もない、赤ん坊だって、
救いようのないほど屈折した、犯罪者だって、
欲に埋もれて、何かを見失った指導者だって、
真実から目を背けて、流されるだけの人々だって、
自らの子供を虐待する、親だって、
その理不尽を一身に負う、子供だって。
等しく護られ、等しく叩かれる。
等しく生かされ、等しく殺される。
世界は、平等だ。
残酷なまでに。
「あいつは、疲れ果てていた。世界に、絶望しきっていた。生きているのか、死んでいるのか自分でもよくわからなかった。あいつは、橋の下で『眠り』についた」
「…」
「偶然だった。あの川の側に、私達家族が遊びに行ったのも、ハルカが河原まで降りたのも、そして、偶然に眠っていたオニイシを発見したのも」
偶然、か。
あるべくして、ある偶然。
「だが、発見したときすでに、あいつには脈も、呼吸も、なかった。当然だ。なぜなら、あいつが『眠り』についてから3週間が経過していたからな」
「え、でも」
彼女は…鬼石は生きていた。
確かに、生きていた。
むしろ、殺されかけた。
「どういう…ことですか?」
「ハルカが、彼女を『眠り』から覚ました。それ以来、ハルカは彼女にとってのプリンセスになった」
眠り姫、ってことか?
立場逆だけど。
「…って、脈も、呼吸もなかったのに、助かったんですか?」
「ともかく、『能力』については聞いていないな」
突然、話が戻った。
なんだか、混乱する。
「はい…何も」
僕は素直に答えた。
そうか、と言って、弐ノ木は説明を始めた。
「人には、何らかの『特長』なり、『欠点』なり、『才覚』なり、そういった『何か』がある。例えば、計算が得意な者。腕っ節が強い者。誰とでも打ち解けられる者。あるいは、欠点で言えば、方向音痴な者…そういった『何か』を突き詰めて伸ばした結果が『能力』だ」
「は、はぁ」
いまいち、何を言いたいのかが、わからない。
「『才覚』は持っていても、それを自在にコントロールし、実力を発揮できる、つまり、『能力』として昇華できる者は少ない。弐ノ木家では、標的よりも一歩先んじるために、古くから『能力』を磨いてきた。例えば、オニイシ。あの娘は、人を『眠らせ』ることができる」
眠ら…せる?
「『停止させ』る、と言ったほうがいいかもしれんな」
停止…?
ってことは…
「君も、実際に見ただろう?」
実際に、見た?
…まさか!
マスターが、真吾が、咲々が、生きていた理由は。
死んでいたのではなく、『停止』していたから?
「じゃあ、さっきの話は…」
彼女自身が、自分を『眠ら』せていた?
脈も、呼吸も『停止』させて、
でも、生きていた?
「そんなの…」
「信じられんのも、無理はない」
僕の言葉を遮るように、弐ノ木は続ける。 「だが、それでしか説明がつかないのも、また事実。フユキ君、君はコールドスリープというものを知っているか?冷凍するわけではないが、鬼石は相手を強制的に、その状態に陥らせることができる。無論、『解凍』できるのも彼女だけだ」
信じろと言っても、無理な話だ。
「薬、じゃないんですか?」
「ハルカはそう言ったのだろうが、それは違う。君も知っているだろう?呼吸も、心臓も停止したままヒトを生かしておける薬など、現代には存在しない」
「そりゃ、そうですけど…」
『能力』なんて話のほうが、よっぽど現実離れしている。
「ハルカも、信じてもらえないと思って話さなかったんだろうな…いや、話しているときに、君の友人がいたからか。こんな話を聞いたら、さらなる厄介事に彼らが巻き込まれるのは間違いない。ただでさえ今回巻き込んだのに、それは忍びない…そう考えたんだろう。さすがは私の娘だ。思いやりに溢れている」
親バカな上に、自画自賛かよ。
「『能力』、ですか…」
これは、夢?それとも、現実?
どちらにしても、今まで僕が生きてきた「現実」の世界からは、かけ離れていることは確かだった。
「『能力』は誰でも初めから使えるわけではない。特殊な訓練を通じて、開花してゆくものだ。だが稀に、訓練でなく、自らの力で『能力』を開花させる者もいる…フユキ君、君のようにな」
「え」
僕の、ように?
「ちょ…どういうことですか?僕には、そんな、突拍子もない『能力』なんて、ないですよ。いたって平々凡々な、ただの一般人です。誰かを『眠ら』せたりなんて、できないですし」
「そうか?ただの一般人に、鬼石を、ウチの首席掃除人(トップスイーパー)を、歴代最強の超新星(ホープ)と謳われた彼女を、万が一にも退けることができるとでも?」
「…!」
トップ・スイーパー。
ってことは、あいつが『掃除屋』最強、ってことか?
「それは…」
あいつが、一瞬油断したから、その隙を…
油断?なぜ、彼女は油断したんだ?
『おやすみ、フユキちゃん』
確か、その言葉の直後だった。
あろうことか、彼女は引き金を引くより先に、僕への拘束を緩めた。
つまり、引き金を引く前に、すでに勝利した確信があった…?
本当に、彼女は僕を殺すつもりだったのか?
いや、待て。彼女が持っていたのは…弾が入っていない空の銃。
僕を『眠らせ』ることが、彼女の目的だったとすれば。
彼女の『能力』の引き金が、『おやすみ』の言葉だったとすれば。
僕の『能力』は…
「一年前、娘は親友を失った。津岡あおい…聞き覚えはあるか?」
逡巡する僕を、弐ノ木の言葉が呼び戻す。
再び、ジェットコースターが降下地点に差しかかったらしい。
えっと、津岡…あおい?
どこかで聞いたような…
『それが…お前の望みなんだな、あおい』
彼の…日々井准教授の言葉が甦る。
「自殺だった。彼女はG大学の新しい研究棟で、手首を切って死んでいるのが発見された。おそらくは理事長の圧力だろう、あまり報道はされなかったようだ。学内でも、情報は公開されなかったらしい」
僕のときと、同じ…か。
おそらくは、理事長の命で揉み消されたのだろう。
あの秘書を思い出す。
「その当時、秘密裏に彼女と交際があったのが、日々井落陽だった」
日々井が?
その事件にも、関わっていた?
リンクしていく、事件。
「津岡も完全に秘密にしていたようだが、彼女が自殺するはずがない、と信じた娘は、独自の捜査で日々井にたどり着いたらしい。そして、私にも内緒で拳銃を持ち出し、G大学へと乗り込んで行った、というわけだ」
それが、1年前。
あの日の出来事。
「『能力』の訓練はさせておいたが、如何せん、掃除の現場には関わらせなかったのが災いした。娘は経験不足だった。日々井も、『能力』を自らで開花させた希少な人物だとは思っていなかったようだ」
日々井も、『能力』を…?
「娘は、人の心を『読む』ことができる。目を合わせることでな。娘は、その『能力』で真実を探ろうとした。場合によっては、復讐を果たそうとした。だが、娘が真実を知ったとき、すでに勝敗は決まっていた」
「…」
「日々井の『能力』は、目を見た相手を『死なせ』る。彼は、人を強制的に自殺させることができた」
『さよなら…フユキくん』
笑顔で、自らのこめかみに拳銃を向ける、晴香。
まるで意志を持ったような、その右腕。
そういうこと…だったのか。
「あとは、君の知っての通りだ。…君の『能力』によって、娘は助かった」
僕の、『能力』によって?
「そんな…僕は」
僕の言葉を無視して、弐ノ木は再び話を飛ばす。
「君の経歴も、いろいろ調べさせてもらたよ。君は、上京する前にご両親を亡くしているね?そして、その現実から逃げるように、東京へ来た。おそらく、君の『能力』が開花したきっかけは、それだろう」
「そんな…」
ヘッドライト。雨。ブレーキ。
僕が殺した、両親。
そんな現実を、僕は。
認めたく、なかった。
「君の『能力』は、おそらく『拒絶』。相手の『能力』による干渉を『拒絶』する」
僕の心を『読も』うと目を合わせて、何か言いそうになった晴香。
僕を『死なせ』ようと目を合わせて、目を逸らした日々井。
僕を『眠らせ』ようと『おやすみ』と言って、力を緩めた鬼石。
そのすべてを、知らず『拒絶』していた、僕。
そして。
「普段は受身の『能力』だが、君が本気になれば、能動的にも使えるのだろう。だから娘は生きていた。『能力』によって『死んで』しまうことを『拒絶』された」
僕が…
晴香を救った?
救えなかったはずの、晴香を?
「その点では、君に礼を言わなければいけないな」
散々、蹴ったくせに…
まだ痛いんですけど。
…とは、さすがに言いたくても言えなかったので、
「僕は…でも、そんなの知りもしませんでしたし、コントロールなんて、とてもじゃないけど、できていません…だから僕には」
「『能力』などない、と?」
弐ノ木が、先回りして言う。
「そう…です」
「それは違う。現に、君は『能力』を使っている。そうだろ?」
「それは…」
「君は『能力』をコントロールしている。そうでなくては、あのとき娘も、もしかしたら君も、死んでいた。ただし、無意識で、だ。あるいは暴走していた、とも言えるな」
暴走…。
そう言えば、あのときの記憶。
その前後は思い出したが、晴香の銃が火を噴いてから、数分間、
どうしても、思い出せない部分が、ある。
そのとき、僕は無意識だった?
無意識で、『能力』をコントロールしていた?
「日々井は…准教授はどうなったんですか」
会話が途切れたので、気になっていたことを尋ねてみた。
僕が引いた引き金は、果たして彼の命を奪ったのか…?
「日々井か…まだ、どこかで生きてはいるだろう」
生きて、いるのか。
安心したような、その逆のような、複雑な心境。
「私は、奴を許すつもりはない。経緯はどうあれ、娘を殺しかけた男だからな…だが、意識を取り戻した娘に言われたのだ。『彼に報復はしないで。約束して』、と」
晴香が?
一体、なぜ?
「理由はわからんが、娘が『読ん』だ真実が、思ったものとは違ったんだろうな」
「…」
「それで懲りたかと思ったら、また今回、君のために、勝手にうちのスタッフを使って、騒ぎを起こして…さすがの私も堪忍袋の緒が切れた」
え?
「それで、こうして君を呼んだわけだが…」
えーと、
僕が、責任取らされるのかな?
「では、本題に入ろうか…」
えーと、今までのは、本題ではなかったんですか?
急に、車がどこを走っているのかが気になってくる。
まさか、東京湾?
あるいは、相模湖?
冷たい汗が、こめかみを伝っていく。
終わったか、ついに。
ごくり、と唾を飲み込む音が、自分にもはっきりと聞こえた。
「フユキ」
「は、はい」
「ハルカをよろしく頼むぞ」

あれ?
「あいつは、勘当だ」
か、勘当?
「あのビル以外は、何も与えない。力も貸さない。自分で、自分の道を一から築いていくのだ。ハルカにはそう言ってある」
縁を切る、ということか?
「そうしなければ、私が抱える部下たちに示しがつかん。だから、フユキ。君には、側であの娘を支えて欲しい」
それが、本題?
「頼む」
深々と頭を下げる、弐ノ木。
表社会も、裏社会をも統括しているグループの主が、頭を下げている。
断れるわけが、ない。
断るつもりも、ない。
「ハルカが…この事件をでっち上げた理由って、なんだと思います?」
答える代わりに、僕は尋ねてみた。
弐ノ木は、頭を上げる。
「いろいろあるだろうが、一番の動機はおそらく…君に思い出して欲しかったのだろうな」
「僕も、そうだと思います。それだけのために、たったそれだけのために、そんな小さなことだけのために、そんな些細なことだけのために、彼女の周りも、僕の周りも、すべて巻き込んで、誰かを敵に回すような、親から縁を切られるようなことまで、平気でする。正気の沙汰じゃないですよ。普通じゃない。平凡じゃない。明らかに、異常です。正直、僕の手に余る存在です」
「…」
「…でも」
でも。
それでも、僕は。
「それでも…僕は、許されるのであれば、彼女の側にいたい。いや、例え許されなくとも。あの日、彼女に出会わなければ、僕はきっと、何かを決意することもなく、理解することもなく、闘うこともなく、逃げることすらできなかった。想うこともなく、願うこともなく、嘆くこともなく、悔やむことすら、できなかった。僕は、彼女に振り回され、彼女を振り回していたい。彼女の笑顔を、涙を、側で見ていたい。例え、それが茨の道であったとしても。例え、貴方を敵に回しても、です」
「…そうか」
「僕は、ハルカのことが―」
キィッ。
浮かされたように吐いた科白と同時に、車が止まった。助手席の男が降り、後部座席の左のドアを開く。
改めてよく見ると、僕を犯人扱いした刑事その人だった。
「…」
黒のスーツに身を固めた彼は、完全に無言で仕事をこなしている。
…役者になった方がいいんじゃないか?
「返事を聞けてよかった…それでは、さよならだ、フユキ。次に会うときは、敵同士でないことを祈っているよ」
弐ノ木が僕に軽く頷いてみせた。出て行け、の合図だろう。
開けられたドアから出て、僕は一度振り向いた。
「ニノキ・コウセツさん…貴方はもしかして、全て『見て』たんですか?」
弐ノ木は何も答えず、にやりと笑った。
刑事役だった男が無言でドアを閉めた。
「…その節は、どうも」
一応挨拶しておいたが、彼は一瞥だけくれて助手席に乗り込む。すぐさま車はどこかへと走り去っていった。
さぁて…
空は快晴。少し肌寒い空気が、頬を撫でる。
また、雪が降ってきたりしてね。
僕は、転がっているリンゴを拾うと、目の前の古いビルに足を向けた。


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